溶連菌感染症の合併症の一つとして知られるリウマチ熱ですが、
この症状には5大症状と呼ばれるものがあることをご存知でしょうか。
医学生や、医療系の試験を受ける必要が無ければなかなか知る機会が無いものですが、
家庭の医学として知っておくと良いかもしれません。
今回は、リウマチ熱のお話を中心にお伝えします。
リウマチ熱とは
リウマチ熱とは、A群連鎖球菌、つまり溶連菌に咽頭や扁桃腺が感染したのちに、
治療が不十分で菌が体内に残っている時などに発症する病気です。
溶連菌に感染した全ての人に起こるわけではなく、発症者の割合としては5~15歳に多いそうです。
原因は、溶連菌に対抗する免疫力が働きすぎてエラーを起こし、
自分の身体まで攻撃してしまうことから起こるものと考えられています。
症状としては、39℃程度の高熱、膝や肘など、全身にある大きな関節の痛み、
そして、発症者の半分は心炎を発症し、
適切な治療を受けなければ心臓弁膜症などの障害が残ることもあります。
特徴的なものとしては、55%の患者に「小舞踏病」という
身体が自分の意思とは関係なく動いてしまう不随意運動が生じます。
他にも皮膚に出る輪状の紅斑、皮下のしこり(結節)などが見られ、
これらの症状はリウマチ熱を見分けるための重要なポイントとなっています。
その他、感染症についてはこちらの記事をご参考に♪
リウマチ熱は予防できる?
リウマチ熱を予防するためには、
そもそもの原因となっているA型連鎖球菌に感染しないようにすることが重要ですが、
もしも感染してしまった場合は、迅速に治療を行い、体内に菌を残さないようにするのが適切な予防法と言えるでしょう。
ただの風邪だと思って放置したり、
病院で処方された抗生物質を飲むことを途中でやめたりしては、
体内にA型連鎖球菌が残ってしまい、一旦は症状が良くなったように見えても
リウマチ熱を発症してしまうことがあります。
リウマチ熱を発症すると半分が心炎に、
しかもその中の何%かは重篤な後遺症を残すことがあるため、念には念を押した対策が必要となります。
リウマチ熱には予防接種などの画期的な予防策が無いため
その前段階である溶連菌感染症を防ぐか、早期に治療してしまうのが一番なのです。
そろそろ流行時期かな?と思ったり感染した人がまわりにいたら
マスクの着用を忘れないように気をつけて下さいね!
語呂合わせで5大症状を覚える方法
最初の項に出てきたように、
リウマチ熱の五大症状とは「心炎」「多関節炎」「小舞踏病」「輪状紅斑」「皮下結節」です。
これはJones基準の五大症状と呼ばれ、
溶連菌感染症ののちにこの5つの症状のうち2つ以上が該当した場合は、リウマチ熱の診断が下ることになります。
医学生にはとても大切な症状として知られ、
試験などに備えた有名な語呂合わせがあります。
それは、
「Jonesは森林で大きなブタに引っ掛けられた」というもの。
これは、「Jones」基準「心」炎「輪」状紅斑四肢の「大」関節から始まる
小「舞」踏病「多」関節炎「皮下」結節を繋げた言葉です。
[感染症]
☆リウマチ熱のJonesの五大症状
「Jonesは森林で大きなブタにひっかけられた」
森→心炎
林→輪状紅斑
大きな→四肢の大関節から始まる
ブ→舞踏病
タ→多発生関節炎
ひっかけ→皮下結節— 医学ゴロbot (@Med_Goro_bot) January 6, 2016
このように、Twitterでもbotが教えてくれる語呂合わせの一つです。
どんな資格試験にも語呂合わせは存在しますが、
医学生にとってこれはとてもメジャーな部類に入るのだそうです。
症状ごとの対策は
リウマチ熱は、根本治療として長期間にわたるペニシリンの投与が行われますが、
症状ごとにも対症療法が行われます。
心炎を引き起こしている場合は、絶対安静を保ち、ステロイド剤などで炎症を抑えます。
また、心炎を起こした子供はペニシリンを投与される期間も長く、
弁膜症に進行した場合は30歳、できれば一生ペニシリンを飲み続けるように指示を受けます。
小舞踏病を発症している場合は、
心炎の状態を見ながら不随意運動を抑えるための向精神薬の投与、ステロイド薬の投与が行われます。
関節炎については、アスピリンなどの抗炎症薬で炎症を止める処置を行います。
輪状紅斑や皮下結節については、特別な対症療法はとられないようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
リウマチ熱は、現在では少なくなったとはいえ日本でもまだ見られる病気です。
患者の半分が心炎にかかると考えると、とても恐ろしい病気ですよね。
一度リウマチ熱にかかると、少なくとも5年はペニシリンを飲み続ける必要があるそうです。
そして、心炎から心臓弁膜症にまで進行すると、
薬との付き合いは一生続くかもしれないなんて本当につらそうですよね。
我が子がそんな苦しみを味わうなんて……と、親ならば誰もが心配することと思います。
そうならないためにも、溶連菌感染症の予防、
もしも感染してもリウマチ熱にならないための早期治療を必ず行うようにしたいものですね。