夏風邪をひいてしまい、咳がひどいときはいったいどうすればいいのでしょうか。
漢方の治療は効果があるのでしょうか。

風邪について

2016-02-03b-2

風邪(夏風邪)の原因の8~9割はウイルス感染によるもので、
インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス等の感染が見られます。
ウイルス以外では、マイコプラズマや溶血性連鎖球菌も原因となります。

症状としては鼻水、喉の違和感、くしゃみで始まり、だるさ、頭痛、発熱、寒気などです。
誰もがかかりやすい病気で、1年間で平均5~6回はかかるといわれています。
長引いたとしても1週間ほどで治ってしまうことが多く、
それ以上長引く場合はマイコプラズマや細菌の感染などの恐れがあります。

風邪の治療方法

風邪のウイルスを確実に殺してくれる薬は、現在ありません。
今、西洋医学で行われている風邪の治療は、熱が出れば解熱剤、咳や痰には鎮咳去痰剤、
くしゃみ鼻水には抗ヒスタミン剤というように、風邪の症状を和らげる対症療法が基本になっています。
熱が高い場合でも本人が元気であれば、解熱剤を使って無理に熱を下げる必要はありません。

発熱は体が風邪のウイルスと戦うための本能であり、免疫抗体の増産体制に入った状態で、
免疫という抵抗力がつくと風邪が治って自然と熱も下がるようになります。

それでも「風邪は万病のもと」と言われるように、抵抗力が低下している時には肺炎を起こしたり、
持病を悪化させる恐れもあるので早めに対処することが大切です。
西洋医学には有効な抗ウイルス剤がないので風邪には漢方を使った治療が良いとされています。
漢方薬は、体が風邪を治そうとする自然の治癒力、免疫力を高めてくれるので、
風邪の初期段階に服用するととても効果があります。

漢方による風邪の治療

漢方の風邪の治療は、風寒感冒、風熱感冒、風湿感冒の3つのタイプに分けて行われます。

風寒感冒
風寒型風邪の特徴は「悪寒」がして体の冷えが強いことです。
その後、発熱、体中のこわばり、筋肉痛、関節痛、頭痛、咳などの症状が出てきます。

漢方薬の治療としては、葛根湯がよく用いられます。

この中の葛根、麻黄、桂枝、生姜は、体を温めて汗をかかせて解熱させる働きをする生薬です。
生薬で体を温めることによって身体の抗体生産能力が高めて免疫力が上がり
早期治療に繋がっていくとされています。
特に麻黄はエフェドリンが主成分で、気管支を拡張させて咳を鎮める作用や胃酸分泌を促進させる作用があります。

鼻づまりが辛い時は、葛根湯に川窮、辛夷という生薬を加えた葛根湯加川辛夷を使って改善させると良いです。
背中の冷寒や鼻水、咳が出る場合には小青竜湯を用いましょう。
鼻水が止まらない時は、麻黄附子細辛湯を併用しましょう。

もうすでに汗を大量にかいている人や体力の弱い人が服用する場合は、発汗力を抑えた桂枝湯や、
体力をつけながら汗の量を調整してくれる桂枝加黄耆湯を用いると良いでしょう。

風熱感冒
風熱型の風邪は、咽や鼻の粘膜の炎症から始まることが多く、
寒気は少なく初期から頭や体が熱っぽくなり、実際に体温も急激に上がって高熱が出る傾向にあります。
扁桃腺炎や流行性耳下腺炎はこのタイプに相当します。比較的高い熱のために口の中が乾燥し、
扁桃やアデノイドも赤く腫れあがることもあります。

風熱型に用いる漢方には、銀翹散や銀翹散を基にして作られた涼解楽、天津感冒片があります。
天津感冒片には解熱作用と痙攣やひきつけを止める作用のある羚羊角が配合されています。
風熱型の風邪で高熱が出た場合は、板藍根エキスや地竜エキスを併用しましょう。

銀翹散に含まれる金銀花と連翹、その他の薬草では板藍根、大青葉などが効果的なウイルスを殺す作用があります。
風熱型、もしくは風寒型から咳がひどくなり、黄色の粘った痰が多くなった場合には、
麻杏甘石湯や五虎湯を用いると良いです。

この漢方は気管支の熱性炎症を和らげて、気管支を拡張して咳を止め、痰の切れをよくします。
その他、清肺湯や五行草が風邪の後の長引く咳や痰に効果があります。

風湿感冒
風湿型の風邪は夏風邪(胃腸風邪)に多く見られ、高温多湿を好むエンテロウイルスなどによって起こる風邪です。
一般的には嘔吐、下痢、腹痛など胃腸炎の症状を引き起こします。
この場合は、胃腸の調子を整える蕾香正気散で治していきましょう。

抗生物質や市販の感冒薬の服用などで胃腸に負担がかかって風邪の症状に加えて
吐気や下痢、腹部の不快感、食欲の低下などがある場合にも香正気散が良いです。

普段から胃腸が弱く一般の風邪薬が飲めない人や妊娠初期で市販の風邪薬を飲みたくない人には、
香蘇散、参蘇飲などの効き目が穏やかな漢方薬をおススメします。

また、風邪をこじらせてしまい微熱がなかなか下がらなかったり、
熱や寒気が交互に出て胸脇部の不快感や口の中の苦味を感じる場合は、
小柴胡湯や柴胡桂枝湯などを服用しましょう。

咳や痰が多くて眠れない場合は、竹茹温胆湯や星火温胆湯が効果があります。