O-157、O-26などの病原性大腸菌による集団食中毒が、
たまにニュースで流れることがあります。
感染者の中には死亡者がいたりして、聞くだけで恐ろしくなりますよね。
病原性大腸菌と言えば夏に流行する食中毒菌という印象がありますが、
実際はどうなのでしょうか。
今回は、病原性大腸菌の流行期とその対策についてお伝えします。
病原性大腸菌の種類
大腸菌とは、主に生物の消化管に生息する細菌の一種で、数え切れないほどの種類があります。
大半は生き物にとって無害ですが、いくつかは人の身体に害をなす性質を持っており、
それらを特に「病原性大腸菌」と呼び分けます。
この病原性大腸菌の中でも、大まかに分けて4つの種類があります。
腸管病原性大腸菌
10~30時間の潜伏期間を経たのち、
下痢、嘔吐、発熱などの症状を呈する急性胃腸炎を引き起こす大腸菌です。
何億個にも菌が繁殖した食品を食べることで発症しますが、
大人よりも乳幼児に発症しやすいという特徴を持ちます。
腸管出血性大腸菌
報道でよく聞かれるO-157など、下痢や発熱などのほか血便を伴う性質を持つ大腸菌です。
潜伏期間は3~5日、感染すると命に関わる溶血性尿毒症症候群を引き起こすことがあります。
腸管毒素原性大腸菌
腸管内で毒素を出し、その毒素によって胃腸炎の症状を引き起こす大腸菌です。
潜伏期間は12~72時間で、症状は軽く、腹痛や発熱の無い下痢だけの症状で治ることも珍しくありません。
腸管侵入性大腸菌
下痢、発熱、腹痛のほか、血便や膿を含んだ便など
赤痢に似た症状を呈する大腸菌で、潜伏期間は12~48時間です。
大腸の上皮細胞に侵入し、組織を破壊する性質を持つためこの名前で呼ばれます。
以上が病原性大腸菌の大まかな分類となりますが、
特に注意が必要なものとしては感染すると命に関わる腸管出血性大腸菌です。
その他の大腸菌は、健康な人が感染した場合は命に関わる事態になることは現代では少なくなっています。
食中毒についてはこちらの記事もご参考に♪
流行しやすい季節は
大腸菌による食中毒が流行しやすいのは、誰もがご存知の通り夏場です。
大腸菌は大体30~40℃程度の温度で繁殖しやすいため、
室温が高くなりがちな夏場に爆発的に繁殖してしまうからです。
夏場は、お店がしっかり食品の衛生管理をしていても、
そして自宅でちゃんと冷蔵庫にしまっていても、持ち帰るまでの間に大腸菌が繁殖してしまったり、
調理してから食べるまでの間に繁殖しやすい環境になります。
また、加熱しないものや加熱してから冷まして食べるものが増えるということも、
病原性大腸菌による食中毒が夏場に流行しやすい理由です。
それだけではなく、暑い季節は誰もが体力を奪われ、免疫力が低下します。
そのせいで、普段なら敵ではない病原性大腸菌に冒されやすくなるという理由もあります。
もちろん夏以外にも大腸菌が繁殖しやすい環境を作れば、いつでも感染してしまいます。
夏ではないから大腸菌の心配は無いと、油断しないようにして下さい。
病原性大腸菌はどれくらい生存する?
大腸菌全般は熱やアルコール消毒に弱く、
75℃以上の加熱やアルコールによる拭き取りで死滅しますが、
そのような処置をとらなければかなり長期間生存するという特徴があります。
例えば、最も恐れられているO-157の場合、
野菜に付着した状態で2週間は生存すると言われているほど生存期間が長いうえ、
12℃以上の環境に置かれると三日で100倍もの菌数に繁殖したというデータもあります。
冷蔵庫などは10℃以下のためO-157にとって繁殖しにくい環境になりますが、
涼しい程度の冷暗所なら、菌が爆発的に繁殖するリスクがとても高いということになります。
常備しておくと便利です(*^^*)
ここではO-157を例に生存期間をご説明しましたが、
もちろんそれ以外の大腸菌にも生存力が高いものがたくさんいるようです。
感染予防と対策
上記からわかる通り、放っておくだけでは大腸菌は消えてなくなることは無いということ。
こちらの動画にある通り、病原性大腸菌による食中毒を予防するためには、
「つけない」「増やさない」「やっつける」の三原則を守ることが大切です。
「つけない」は、トイレや土いじりの後は手をよく洗う、
生食するものと生肉類などを一緒に置かないこと。
「増やさない」は、大腸菌が繁殖できない温度まで冷やして保管する。
「やっつける」は、加熱や消毒などで殺菌してしまうことを指します。
この三原則を守れば、病原性大腸菌のリスクはぐっと減らせるようになります。
夏場が流行期の病原性大腸菌ですが、それ以外の季節も油断はできません。
生食するものは買ってすぐ冷蔵庫で保管し、それ以外のものもしっかり加熱するなどして
大腸菌を始めとする細菌を殺菌してから食べる習慣を付けましょう。